まぎれもなく浮遊

好きなものも出来ることも多くないです。別名義のnote: https://note.com/toiro_k

君の海老になりたい

今日読み終わった本とか。

・九つの物語/サリンジャー

こないだ柴田訳の『ナイン・ストーリーズ』を買いにジュンク堂に行ったら集英社文庫から出ているこちらを発見して、柴田訳は後日でもどこでも手に入るだろうと思ってこちらをお迎え。そんで読んだ。なるほど。訳者の違いでここまで詩情や文章の斬れ味や読後の余韻に違いが出るのだと思うと興味深いものです。原文を確認したわけではないけどそれでもこれはグーグル翻訳か??ってぐらい固い言い回しのくだりもあって、でもその率直さが逆に良い味になってる作品もあったりして。やっぱり原著で読むのが最高なんだろうと思う一方で、今のところそれが叶わないわたしが好きなサリンジャーの作品は野崎孝さんが訳されたものなのだという事実を改めて実感もした。面白いものですね。

 


村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」/森泉岳土

読書メーターに書いた方の感想『螢』の字を間違えている。申し訳ない。そんで短編『螢』は既読で長編『一九八四年』は未読という状態で手を出してしまった一冊、森泉さんのコミカライズ能力には以前読んだ『カフカの「城」他三編』で絶大なる信頼を寄せているので心配してなかったけどやっぱり今回も素晴らしかったです。素晴らしすぎて初読となってしまった『一九八四年』がトラウマになりそうな勢い。ディストピアものと呼ばれる小説はこれまでにも何作か読んできたけどその中でも突出していると思う。恐ろしかった。自尊心を徹底的に折るのはSMプレイでもよくある手法だけれど(は?)、強いられたものであっても結果的には言葉が行為が愛を殺してしまった。見ていられない。『螢』の空間の描き方も『一九八四年』の痛烈に見せつける手法もどちらも漫画ならではの表現で、こんな言い方が最適なのかわからないまま使うけれど幸せな調和だと思う。

 


憲法の涙   リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2/井上達夫

書名にある通り日本国憲法に関して、改憲派護憲派それぞれが孕む欺瞞について明瞭かつ痛快に語られている一冊。沖縄の件とかこれまで考えた事もなかったことを猛省しつつ、昼に読んだ『一九八四年』のコミカライズの中に辞典から言葉を削除するくだりがあった事に思いを馳せている。「思考を表現することばがなければ思考の幅は自然と縮小される」と。言葉ではなく情報だとか知識だとかに置き換えて、逆に言えば知る事で新しい世界を視る事だってできるんだと改めて思えた。目の前の草むらが恐れるに値しない場所だと理解すれば前に進めるしそれが獣道にもなる。3年も前に発売されている本書の内容を現代に当てはめても何の問題もなく読める事自体はかなり複雑な気持ちになるけど、九条を持つ国の民として目を逸らすわけにはいかない事が詰まっている。

 

 

 

令和元年最終日!の火曜日ですね。こんばんは。カフェイレを最後まで聴いてアラームセットせずに眠れる幸せを噛みしめつつ就寝、いつもより遅めに目が覚めてみれば朝から快晴。大喜びで起きてマフラーやらコートやらとにかく洗えるもの全部お洗濯しました。午後からやたら風が強くなって夜になった今では吹き荒ぶ音にハラハラする勢いなんですけど、日中はあったかい日でもあったおかげでお昼過ぎにはコート以外全部乾いてくれました。清々しい。あと水回り中心に本気でお掃除してからは、本を読んだりコーヒーのんだりエンゼルパイ食べたりといつものおうち大好き人間の休日とまったく変わらん一日でございました。でも最後なんだね。通過点だけど。一区切り。

最後だからまだまだ書くよ。いろんな事があった2019年だったな〜〜〜って振り返っているところです。ポルノさんに関する事だけでもUNFADEDツアーと喫茶ポルノとポルノ展とロマポル神、駆け抜けた20周年イヤーずっと楽しかった。ポルノさんに決定的に心臓鷲掴みにされるきっかけになった歌を13年ぶりに聴けたあれは幕張2日目だからしっかりばっちり今年の出来事なんだね。ずっと覚えておきたい大切な思い出が沢山できています。ありがとうございました。

そんでもって振り返ればポルノさんに関する事以外でも本当に盛りだくさんな一年でございました。何より先ず元号が変わったし、一緒に桜を見れたの嬉しかったし知り合って14年とかになるフォロワーさんと念願のはじめましてを前橋で出来たし、思い立って唐突にシェアハウスから引っ越しをしたら誰にも気兼ねなく暮らすことの心地良さを思い出せたし。ねこぺん日和の展示やらコラボカフェやらも行けたしサリンジャーの伝記映画ほんと素晴らしかったし。好きな作家(マーチダ氏!)の現場になんだかんだで4回足を運びもしたし、セルフチェックでドキッとして半泣きで乳がん検診受けに行ったのも今年の話だ。ここまで書いてツイッターひらいたらオタクはジャンルで一年のことを語るってツイートが視界に入っていやいやまさかそんなって思って仕事のことで一年振り返ってみたら仲良しだった社員さんが退職してしまった事を思い出してちょっと落ち込んだ。なんでそうなってしまったんだろうって今振り返っても悔しい。

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晦日の夜はポルノさんのスペシャルボックスの特典映像を観て過ごそうと決めていたので久々にお酒を買ったりなどしたのです。ほらやっぱりほろ酔いで観たいじゃないですか。寒いからお湯で割ってみようかな。これ書き終わったら呑みながら観ます。楽しみです。これを撮るためだけにおふとんの定位置から引っ張り出されたダリル。そして今日の記事タイトルがふざけ倒してますが私はまだしらふです。なんにも思いつかなかったからインパクト狙いに走った。詩情か笑いかだったら笑いを取りたい。わはは。今年もありがとうございました。良いお年をお迎えください。