まぎれもなく浮遊

好きなものも出来ることも多くないです。別名義のnote: https://note.com/toiro_k

全勝狙いでいたのに

FM広島の公開収録を観に因島に行った日からもう一年ですか。早いものです。去年の自分のブログを読み返して幸せそうじゃないかと思ったりしました。どうか歪む事も無く装飾が施される事も無くただ鮮やかであれと願うばかり。真空パックしたい(?)。

そんで今日は日曜日。ロックの日にしてあの歌の歌詞が書かれた日から11年。曇りのち雨。雨予報を信じてお洗濯せずにいたのにお昼過ぎまでだいぶ明るい曇り空だったのそこそこ根に持ってる。これなら朝一でお洗濯しとけば乾いたんじゃないか。このやろー。

 

昨日は日本橋丸善に行ってきました。めっちゃでっかかった(この語彙)。お昼ごはんに念願の丸善のハヤシライス。まろやかでありつつ複雑な味で思わず無言でじっくり食べ進めてしまうぐらい美味しかった。そのあと店内うろうろして本を買ってから近くでコーヒー飲んだりなどしたんですけど、なんか普段遊びに行くエリアと比べるとどこもなんとなく穏やかというか喧騒が遠いというか比較的静かですごく居心地が良かったです。日本橋駅の改札を出てそのまま高島屋に入ってから出たらすぐ目の前、あるいは改札を出て地下通路を進めば地上に出ることなく到着、という立地も素敵。今後おおいに贔屓にしたい場所。

そんで日本橋行きの電車に乗ってたら向かいの席に座ってたちびっ子のキャップにつば九郎のマスコットがついててこれがまたかわいかったんですよ。神宮球場で14時から試合があるから観に行くんだろうねって教えてもらったので晴天とヤクルトスワローズの勝利を願いました。結果的に言えば確かに雨は降らなかったから一勝一敗と言える。むむむ。

 


今日読んだ本とか。

・掏摸/中村文則

希望の矢と書いたら露骨かなと思って鏃にした事をここに告白します。面白かった!これ好きだな~。身ひとつで行う掏摸という犯罪、許されざる行為とはいえその手腕を発揮する場面や終盤の新宿の攻防戦は2時間ドラマなり映画なりで映像化したらかなり映えそうな緊迫感。そういう娯楽要素と運命とか置かれた境遇に抗う事とかの内省的な純文学の要素をそれぞれ縦糸と横糸にして凄い織物を仕上げちゃってるぞ的な。伝わらないな。何が凄いかってこの短さだと思うんだ。180頁も無い短編と呼ぶべき作品でここまで書くか。主人公が自分のことをあまり語らないから淡々と進んでいくように思えるけれど、その淡々とした流れだからこそ丁寧に描写された掏摸の場面や主人公の葛藤とか自問とかが際立つみたいなとこある。良き作品に出会えて嬉しい。


・ヌメロ・ゼロ/ウンベルト・エーコ

単行本の表紙が素敵だったのに文庫版どうしてこうなった…。名前はよく知っているけれど作品を読んだのは初めて。2016年に永眠された著者最後の作品。メディアリテラシーの欠落に対する挑発のようなくだりの中でも「告発者の信憑性を失わせる」とか完全に山口真帆さんがされた事じゃないかって思ったりしながら読んだのだけど、そうやって現実の出来事に当てはめられる事自体がもうブラックジョークだよ。"この目よ虚構を射よ この耳よ意志を聞け"を抱いて生きてゆきたい。あと読書メーターの感想を書いている時には受け取る側の事ばかりを考えて惑わされないようにって決意を新たにしたものだったけど、事実だけを列挙したとしても発信側のバイアスがかかるという事実は精確に発信する事の難しさにも直結しますね。本作で書かれている事とはズレるからそこまで思いを巡らすのは深読みし過ぎなのかもしれないけど…。