まぎれもなく浮遊

好きなものも出来ることも多くないです。別名義のnote: https://note.com/toiro_k

君はずるいと歌いたい

ゴールデンウィーク出勤分の代休でのんびりな木曜日。青空に眩しい緑に涼しい風。額縁に入れて五月というネームプレートつけて飾りたいぐらい素晴らしい一日でした。気合い入れてお洗濯したらハンガーも干す場所も足りなくなってちょっとだけ焦った。

おうち大好き人間の休日を過ごしておきながら何故こんなに眠いんだ。謎。ALI PROJECTに『贋作師』という歌があって、今日ずっと読んでた本の影響なのか頭の中でエンドレスリピートしていた筈なのに夕方に最新のポルノさんを目にして興奮のあまり全部吹き飛びました。そんな自分がわりと好き。令和最初のポルノさんまであと2日。明日の夕方にちょっと憂鬱な予定があるので明後日に想いを馳せながら這い蹲って進むのです。アミュフェスって毎回Tシャツ何着て行くか悩む。悩むと書きつつ楽しい時間。

 


今日読んだ本。

・ヴァイオリン職人の探求と推理/ポール・アダム

初老のヴァイオリン職人と中年の刑事のコンビが殺人事件をきっかけに過去と現在が複雑に絡み合う謎へと挑んでいく、という感じか。ただでさえ登場人物が多い上にイタリア人のお名前や呼び方に馴染みがない事もありで本文と登場人物一覧を頻繁に行き来するというなかなか混乱を極める読書だったんですけど、ヴァイオリンそのものに関しては詳しくなくても気にならず読めました。ギターがあの形で完成形という話は晴一さんが仰ってたんだったかな。ヴァイオリンもまた同じなんですよね。にも関わらず奏でられる音色だけでなくその存在感で圧倒的な美を放つ程の差が生まれ蒐集する者達が現れ法外とも思える値段がつけられる。そういう渦巻く欲や、その美に魅せられた結果のなりふり構わぬ切実な叫び、そして何より演奏シーンの臨場感と高揚感の描写がめっちゃ上手いんですよ(残念な語彙)。音楽に対して受けた感銘を経て作り手への憧憬が育まれる現象も共感しきりで。そこに人生の黄昏に差し掛かった人間の憂いとヴァイオリン職人の矜持をのせて奏でられる物語が面白くないわけがなく。結末も良いなと思えたし。いいものを読んだ。