己から聞こえる声

好きなものも出来ることも多くないです。

僕たちは血みどろだ

箱庭の安逸と引き換えに知った孤独の話をします。
まず満ちたのは言いようのない幸福感でした。時は止まり音は途絶え、視界に入る君以外のすべてが瞬間的に消失するほどのこの上ない喜びのはずでした。でも溢れんばかりのそれを伝えるための言葉を持たなかった僕は君に触れる事しか選べず、それは結局のところ二人きりではなく永遠に一人と一人なのだと突きつけられる事に等しかったのです。交わるのではなく混ざりたかった。だけど触れるそばから同じものになるよう願いながらも叶わない事実は僕の幸福を黒々と塗り潰し、鼓動も体温も重なりこそすれ別々のまま、身体に隔てられた心はいつまで経っても独りきりでした。
箱庭の安逸と引き換えに知った孤独の話をします。それは夜空が纏う星座のように僕の世界を塗り替えました。ひとたび知ってしまった事で、僕の目は撒かれた星屑から星座を見つけ出してしまいます。僕の意志とは無関係に。



今日読んだ本。
萩尾望都/音楽の在りて
連作でもないのに一気読み出来る短編集は貴重な存在です。君が見る夜空と僕の夜空がせめて同じものであることを願う。