まぎれもなく浮遊

好きなものも出来ることも多くないです。別名義のnote: https://note.com/toiro_k

ついでに握手もお願いします

曇りのち雨で涼しい月曜日。海の日。ゴールデンウィークの頃にツイッターでバズってた煮干しの写真を一日一枚ずつ淡々とアップしていくインスタのアカウントをフォローして毎日眺めてるんですけど、祝日だけは煮干しが鯛に変わるんですよ。そんでフォローし始めて今日が初の鯛写真の日だったので見た瞬間ちょっと嬉しくなりました。長かったここまで。ゴールデンウィークの次の祝日が2か月以上経った今日っていうのもなかなか凄い話よね。6月にも祝日が欲しいぜ。そんで煮干しを毎日眺めているうちに、あいつらもなかなか個性豊かな見た目してるんだなあ…って思えるようになってきた自分の心境の変化に驚いてもいる。ぐんにゃり歪んでる奴がいるかと思えば背筋ピーンと伸ばしてる奴もいてさ。面白いです。

出かける用事が無いこともなかったけど、いいかげんおうちに引きこもって過ごす休日を持たないと更に消耗してしまう!っていう危機感を抱いたのでおうち大好き人間の休日を過ごしました。お天気が夕方までもってくれたからお洗濯もできたし積んでた本やらいろいろ読めたし、短い時間ではあったけど本気のお昼寝も出来て頭も気持ちもスッキリしております。お昼ごはんに食べた、6枚切り食パンをこんがりめに焼いて薄切りにしたアボカドをのっけて塩と胡椒とオリーブオイルかけただけのやつがえらい美味しかった。いい一日でした。シャキーン!

 


今日読んだ本。

・春にして君を離れ/アガサ・クリスティー

ミステリーじゃないクリスティー。以前鴻上尚史さんの人生相談で取り上げられたのがきっかけでバズって店頭から姿を消した事もあった一冊。善意を大っぴらに掲げながら他人の選択や人生に口出ししてくる人っていますよね。あなたのためを思って、なんて物言いしてきたりしてこっちが頼んでねーよって返したら激昂するやつ。そしてそれが身内だと距離を置けばいいだなんて簡単に言ってられないのが厄介なところ。発表から70年以上が経った今もなおこうして支持されているのは、人と人がともに生きていくうえで必要なことをジョーンの姿を通して見直すことができる普遍性にあるのだろうな。面白かった。300頁超にもかかわらず朝読み始めてお昼前には読み終わるさらさらっとした読書になったけれど読後感はなかなか重い。この重みごと抱えるのが人間として生きることだと思う。実行できてるかはさて置き(置くなや)。

 


・記憶の盆おどり/町田康

昨日、池澤夏樹個人編集日本文学全集のお試し版がKindleで無料で読めると知ってアプリをインストールしたんですよ。そんでせっかくだからマーチダ氏のKindle限定短編も読もうかなと思って。さらさらっとした読み心地なのにじわじわ怖いな。思い出せず忘れていく過程に対する焦燥。そんでこういう物語のタイトルに「盆おどり」なんてワード持ってくるマーチダ氏の言語感覚が好きなんですよ。

 


・少年の改良/町田康

これもKindle限定短編。初っ端からまたも唐突に訪ねてきた美女と向かい合ってて笑っちゃったじゃないか。率直に言って結末の意味がさっぱり分からぬ。考えるな感じろ、という言い回しが浮かんだけどそれより相応しい一言があったね、「それがおまえのロックか?」。そんで読書メーターの感想にも似たようなこと書いたけれど、フィクションを物語る中に綴られるロックに対する考え方の言語化にバキバキに刺激受けまくったんですよ。そこがとても良かった。以前読んだ『湖畔の愛』でのプロがアマに語るくだりにも言えるけど好きな作家のこういう思考に触れられるの堪らないな。正座して向かい合わせで聞くような心持ち。