まぎれもなく浮遊

好きなものも出来ることも多くないです。別名義のnote: https://note.com/toiro_k

本来の意味の方の絆

今日読んだ本。

・キャプテンサンダーボルト 下/阿部和重伊坂幸太郎

伊坂さんの『ゴールデンスランバー』みたいに1冊で良かったのでは?と思わなくもない。でもそうなってたら上巻収録の掌編が冒頭にきていたかもしれなくて、それならやっぱりこの上下巻での文庫化が最適解という事だろうか。内容は壮大さも着地の鮮やかさも天晴でした。村上病ってまさかそんな露骨な、と思ったらお二人が実際にそういう主旨の発言をされていたそうで…(解説に感謝)。読書メーターの感想でメインの二人に対して「利他を貫いた」って書いたけれど、二人ともそのために駆使する手段、やってる事はセーフかアウトかで言ったら完全にアウトなんですよね。手がかりに辿り着くまでの流れも同じく純然たる清廉潔白ではない。そういうところが良かったと思う。敵もバイオハザードで言うタイラントみたいな、人間味の真逆って感じの存在でしたし。巨大な権力の采配によって人生をめちゃくちゃにされてる人もいるし結果的に逃げ切って勝利した人もいる、でもそれらをもってしてもこういう読後感に仕上げてしまう手腕すごいな…。エピローグ前の最後の章の最後の台詞に涙が出た。

 


・くっすん大黒/町田康

賞賛と悪罵を浴びた、って凄いコピーですよね。そんなデビュー作を再読。今回は読みながらジミ・ヘンドリックスの『Purple Haze』をちゃんと聴いたんですよ。コッケコッケコッケコッケのコカカカーカコカカー、この再現度の高さ勘弁してほしい。笑。表題作も『河原のアパラ』も、常軌を逸した人にコテンパンにされて何もかもなくして空っぽになって、それでもどん底の悲愴感に呑まれるのでなく明るいし楽しそうなんだよねぇ。べつに人との出会いを大事にとか未来は明るいとかそういう教訓めいた事を大仰に伝えるのではなく、破れかぶれなありのままで今を生きている様をこの歌うような独特の文体で読むという体験。梶井の『檸檬』が紡錘型の達成だった事に対してくっすんの大黒は職務質問。にやけた。

 


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日曜日。晴れ。今日もおうちに居ました。治ったわけではないけど腰の痛みはひとまず引いてくれた。不意に痛みに襲われそうな感覚があるから動いたり中腰になったりするのにびくびくしてしまうけども、でもお風呂上がりに柔軟体操が出来るぐらいには回復したんです。一件落着という事にしたい。明日目覚めたらそうなっているといい。

部屋の南側に大きな窓があるおかげで冬暖かく夏暑すぎる我が自室、すでに冷房入れたくなる感じのぬくぬくな一日でした。窓開けて涼しい風が吹く中でTシャツ姿で快適な体感温度。朝起きてごはん食べてすぐにキャプテンサンダーボルトを読み始めたら面白くて一気読みでお昼前には読了してしまって、それから出来心で世にも奇妙な物語の評価が高い回のタイトルを検索してあらすじ読んだら若干トラウマになりかねない勢いで怖かったのでマーチダ氏のくっすん大黒を手に取ったりなどしました。そんで笑った。チャアミイめ。

そんなふうに平凡な穏やかな一日で終われたら良かったのだけど、今ひどい憤りと悔しさが胸に満ち満ちてて今夜ちゃんと眠れるだろうか。結局あの運営は幾つかある選択肢の中から最悪な側を選ぶ事を重ねてきたのだ。最後の最後まで。罪のない子達には申し訳ないが運営への腹立たしさのせいでもう嫌悪感しか湧かない。存在が無理だ。せめて彼女たちの身の安全が守られるよう願って止まない。