まぎれもなく浮遊

好きなものも出来ることも多くないです。別名義のnote: https://note.com/toiro_k

"Sauve qui peut"

今日読了した本。
内田樹/街場のメディア論
クレーマーとしての謝罪を要求する姿勢に対する言いようのない気持ち悪さはずっと感じてきたけど、その「言いようのない」の部分の言語化をすごく助けてくれた本。"自分の無知と無能、言い換えれば、市民的未成熟を公表することによって物質的・倫理的優位性を得ることができる"、その公表が自分自身を貶める行為である事に気付いていないか、あるいは気付きながらも何も感じる事のない精神に対する嫌悪感なのかなと。引用の部分の無知はともかく無能ってすごいキツい言い方だけど、新書にまとめるにあたって元になってるのは大学生向けの講義だからそれもまた話を聞いてもらうためのひとつの手段だったのかなとも思える(このあたりは前書きでも触れられてる)。
そういうクレーマーの増加に加担したメディアの論調の罪深さとそうならざるを得ない事情以外にも、世論の無難さとウェブ上での匿名の発言の攻撃性という対照的なその二つがどれほど発言者を傷つけるのかというロジカルな説明に、電子書籍著作権に関する著者の見解を広く浅く語るところまで。3度目の再読でもいまだにこんだけヒリヒリするのか!って驚かされるぐらい刺激的かつ頷かされる内容ばかりでめちゃくちゃ面白い一冊なのです(具体例として紹介されるクレーマーの傍若無人っぷりにムカムカするかもしれないけど)。もちろん書かれてる全てに同意できるわけではないけど、その同意できないくだり程度で損なわれるような脆い内容じゃない。新書である以上はやっぱりこうあるべきだと思う、強靭な結晶とでも呼ぶべき本。たぶんまた時間置いて何度でも読みます。


昨日の朝の影響としか思えない流れで完全に体調不良まっただ中です。喉が痛いのと頭が痛いのと全身の浮遊感。かわいいあの子のライブ初参戦が明後日に控えてるので明日のうちに本気で全力でなんとかしないといけないなと思ってます。トーキョーは雨みたいだしゆっくりしなさいって事だと受け取ろう。たっぷり眠ってしっかり治すぞ。