まぎれもなく浮遊

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ポルノグラフィティ11thアルバム『BUTTERFLY EFFECT』感想

岡野昭仁の歌声と新藤晴一の歌詞に今日も生かされているわたしです。待ちに待った11枚目のオリジナルアルバムがついにリリースされました!おめでとうございます!ありがとうございます!!!
開封してまず火文字の一瞬の美しさの流れが見事に表現されてるジャケットに惚れ惚れと見入りました。桜の花が美しいのは枯れる前に散るからだって一文を思い出したりして、美しさの余韻は受け取った側にいつまでも残るのだなと嬉しくもなり。そんで帯とかないのかなって箱の中(初回盤)を確認するのに覗き込んで思わず和んだ。芸が細かい。
以下は特典以外をひととおり通して聴いて感じたことを綴った個人の備忘録です(特典は楽しみだからこそPS4購入時の新藤さんに倣ってわざとまだ聴かないでいる)。このアルバムを引っさげたツアーまでもうひと月きってるわけだし、ツアーで生で聴いたら絶対に印象が変わるので音源だけ聴いた感想を今のうちに出力しときます。


M1:THE DAY
アニメ『僕のヒーローアカデミア』オープニングというタイアップのついたシングル曲。その後も音楽フェス(リクエステージ)にてフルサイズ初披露・単発スタジアムライブで本編ラストを飾る・初の海外ワンマンライブとなる台湾公演で1曲目に据えられ・今年の夏フェス三連戦のセットリスト皆勤賞のうちの1曲(1曲目とラストで固定だった今宵とアポロ、そしてハネウマライダーとTHE DAYの4曲)、という近年のシングル曲の中でも群を抜いて、ライブにおいて無類の強さを発揮している歌。ライブの高揚感が曲の持つ強さを更に育んでくれてるように思う。幸せな相乗効果。
そんで最近はもう好きが過ぎてライブの思い出補正とかの次元を超えて聴いてると滾る1曲でもあります。次のツアーできるだけ頑張って行けるだけ行きたいなって気持ちがあるのはこの歌を披露する可能性が高いだろう事が一番の理由だったりする。オー!リバルの次のシングル、というハードルを鮮やかに越えてみせたポルノさんに拍手!


M2:Working men blues
今作唯一の新藤詞岡野曲。こないだの何かのラジオ(TOKYO FMだっけ?)で曲自体は3年ぐらい前にできたと岡野さんが仰っていたはずなのだけど、それ聞いて改めて作曲家岡野昭仁の底知れなさを思い知ったみたいなとこあります。
歌詞はね、タイトル公開時のしまなみテレビだっけ?晴一さんが仰ってた「抱っこひもつけて子供を抱いてベビーカーも押してるお母さんとか家族のために頑張ってる疲れた背中のサラリーマンとかそういう、自分を差し置いて誰かのために頑張ってる人が最近すごくカッコよく見える(要約)」という内容のことを聞いた時に、それはその人たちがカッコいいのに加えてそんなふうに感じる晴一さんも紛れもなくカッコいいんだよって思ったんですね。言葉があくまで伝達手段であって、言葉を交わす事で生じる感情や交流のほうがより価値が大きい事実のように。だって実際いろんな人がいるじゃん、わたしだったらたぶん同じように子供を連れたお母さんを見てもちっちゃい子かわいいな〜〜って小動物を愛でる目線でデレデレして終わると思うし、同じ光景を目にしても快く思わない人だって実際いるだろうし。でもそこを"頑張ってる人"と受け止めて"カッコいい"って、作品へと昇華出来るぐらいそんなふうに思えるっていうのはなんかやっぱ凄いなと思ってしまう人生の若輩者のわたしです。いつかちゃんと実感出来るようになる日が来るんだろうか(この感想書きたいものから順に書いていってるから、結論として言いたい事をケルアックの方で先に書いてしまったのでそっち読んで)。
歌詞そのものに関しては正直心情的に納得しがたいくだりもあって、でもそれで発奮して前に進める人がいるのもきっと確かなのでいらんこと言わんとこうと思うのでひとつこれだけ、言葉を削る事でより鋭く刺さるように伝えてくる晴一さんの歌詞が心から好きなので大サビの鋭角っぷりには思いっきり胸を貫かれました。そして歌詞に対して受けて立つぜって勢いの歌声にも聴いてて揺さぶられまくる。この歌声が堪らなく好きで好きで好きです。これからも長く付き合っていきたい一曲。


M3:君の愛読書がケルアックだった件
アルバムリリース前にラバップ会員を対象に行われた\タイトルのみで選ぶ!あなたが聴きたい収録曲/なるアンケートで1位だったそうで、発売前にウェブ上で単体で聴いたのが最初です。架空のキラキラ映画って表現に正直若干ビクビクしてたから実際に聴いた時の安堵感ハンパなかった(そこはもっと新藤さんの手腕を信頼するべきでしたね)。若さっていうか青さが際立ってて、ひとつ前のWorking men bluesが43歳(書いた時は42歳?)の今だからこそ書ける歌詞とそれゆえ引き出されたかのような岡野さんの力強い歌声で構成されてるからこそギャップがとにかくすごい。この振り幅と多彩さがポルノグラフィティの強みってやつですね。
サビの歌詞の「想像のハンドルを握って」の主体性が無性に嬉しかったな。読書って傍目にはおとなしくしてるように見えても文章を読み解いて作品世界を脳内に構築しながら繰り広げていかないといけないすごい主体的な行為ですし。ああでもなんかやっぱり青いなほんとに!キュンキュンする!なんか結局ひとっことも会話交わす事すらもなく歌が終わっちゃったけどこの後どういう物語が待ってるんでしょうねこの二人。そんで結局ケルアックの作品を一冊も読了しないまま歌を聴いたので、知ってたらもっと深く理解できる箇所なんだろうなあって思える部分がちょいちょいあるのでこれからが楽しみです。深く知る余地がさらにある愉悦。なんで他の作家でなくケルアックだったのか、いつか作詞者さんから聞ける機会があるといいね。


M4:I believe
これはもう、この歌はもう大サビの最初の二行に尽きる…。やっぱり『むかいあわせ』を書いた岡野さんだ!!!って胸がめっちゃじーーーーんとした(むかいあわせ大好きなんです)。Working men bluesが今の年齢だからこその歌詞であるように、この部分もそういう事なのかなって考えるのは深読みが過ぎるだろうか。そして大サビのそのフレーズを知ったからこそ再度聴きなおした時に冒頭オルゴールみたいな音色、ぜんまい巻いた分が終われば曲の途中だろうと容赦なく止まるものであるオルゴールの音色で始まるのにも胸を打たれる(いまこれ自分で書いてて全く関係のないマキシマム ザ ホルモンの某曲に対して心から納得した。セレンディピティだ)。いや〜〜〜これライブで聴いたら泣くかもしれない。この音色にこのフレーズに岡野さんの生歌の迫力が加わるってそんなんもう心して聴かないといけないよほんとに。関係ないけど後ろで鳴ってる音でやたらシャララシャララしてるのがあるのケルアックでも感じたけどこんだけ印象変わるんだなって驚きですね。


M5:LiAR
なんだろう、フラゲ日当日にCDで聴いた時にはひとつ前のI believeから曲間の静寂ナシで流れるように繋がった感じに聴こえて鳥肌立ちまくったはずなのに、翌日iTunesで購入したダウンロード音源をiPhoneで聴いた時はそこまでの繋がりは感じられなかったのが地味に気になる。気のせいなのかそれとも聴く環境が変わればそんだけ違いが出るって事なのか。謎。でもそれならアーティストの意図をより正確に酌めるのはCD音源って事にならない?それならこれからはもっとCD再生を頻繁にやろうと思うよ。利便性よりも大切なものがあるのだよ。
感想はもう今更言うまでもない良曲。シングルリリース当初は真っ白な〜に一発で撃ち抜かれてあちらばっかり贔屓してたみたいなとこもなくもないけど、聴く回数を重ねるうちにしみじみと好きが深まっていった感。こうしてアルバムの中の1曲として聴いた時の安定感と華やかさは新しい気付きでもあるかな。そういやなんだかんだでまだ生歌で聴いたことない(ロマポル'16のお披露目から歌詞もアレンジも結構変わりましたし)からこれもライブが楽しみだなあ。


M6:Fade away
表記不明だけど仮タイトルは『ダークソング』だったそうで。クオリティの高いものに触れると思わず笑ってしまうのがずっと前からの癖みたいなものなんですけど、この歌のイントロ開始5秒で顔の緩みを自重できなくなったので間違いなく大好きな歌になるんだろうなって予感でいっぱいです。最近だと『デザイア』を初めて聴いた時にも同じような反応をしてしまったのを覚えてる。
1番はまるまる一人称が登場しないから、2番聴いた時に結構本気でびっくりしましたなんだかちょっと意外で(あとで歌詞カード読んで表記を確認してまたさらに追加でびっくり)。そして2番Aメロの甘美さすら漂う退廃が最高に好きな世界で胸が苦しいです。めっちゃ好き。めっちゃ好き!こんな曲とケルアックのようなキラキラ爽やかソングが肩を並べる多彩さと振り幅がポルノグラフィティの面白さであり強みだと思うんですよマジで。すごい。「星屑が消えるように 誰にも気付いて貰えない」の遣る瀬無さにもドキッとさせられた(『Light and Shadow』の「夜空には心の跡」に匹敵する屈指のフレーズ)し、「咽び泣いてる」の部分の言葉の選択も歌声の激情の込め方も素晴らしいと思う。あと岡野さんの歌声における濁音フェチなので2番サビに至福の瞬間があって耳が幸せ。聴いてて眩暈がしそうなギターの音色も同じく幸せ。なんだこの歌。シングル候補だったらしいけどこのクオリティで結局シングルにならないってどんだけハードル高いんだって話だよ厳しいなプロの世界……タイアップとかのもろもろの巡り合わせもそりゃもちろんあるだろうけども…。
いやでもほんとに一回聴いてすぐさま好きだと思った歌なのでこれからじっくり聴き込むのもライブで生で聴けるのも楽しみで仕方ないです。ライブが楽しみだと感じさせてくれる歌って嬉しい。生の迫力が加わったらさらに化けそう。


M7:クリスマスのHide&Seek
自分が歌を好きになるにあたって、歌詞に魅かれるかが占める比率ってやっぱり大きいんだなって事を改めて思い知らされた歌。
いやこれ曲は好きなの、曲は本当に好きなの。系譜を辿ればオー!リバル・デザイア・俺たちのセレブレーション・極上ランディングあたりに逢える紛う事なき岡野曲の魅力に満ちた曲。そんでそれだけ好きな曲に最愛の歌声がのれば紛れもなく強いはずなのに聴いててもなんとなくいまいちのれないの本当に申し訳ない(あっでも「サイレントナイト ホーリーナイト」の部分の気持ち良さはちょっとうきうきする)。ていうかこれも江口さん編曲なんだな……Fade awayとの振り幅すごいしもうこのアルバムの裏テーマはアレンジャー江口亮さんのいい仕事を楽しむとかでも良いと思うぞ……14曲のうちの5曲…。
そしてどれほど良いなと思える歌詞に曲であっても声に魅了されなければそれ以上の興味を持つ事もないし、そういう意味では昭仁さんの歌声は絶対正義なのでこの歌もライブで聴けるのが楽しみな歌と言えるかもしれない。時として理屈や感情を超越するほどの凄まじさを持つ生歌の迫力を、これまでに何度となく思い知らされてますし。


M8:MICROWAVE
初めて聴いた時の感想が(野党さんの曲みたいだ…)だった私はだいぶもったいない第一印象を抱いてしまったのかもしれないなと正直思う。いやこれポルノさんの歌としてだいぶ前衛的というかめちゃくちゃ新境地開拓というかそのくせ歌詞は新藤晴一節ど直球だし、とにかく清々しいほどのやりたい放題っぷりにスタンディングオベーション拍手喝采です。これいったいライブでどーやって披露するんだ。いやむしろ加工を施した生歌で聴いたら更に化けるやつなのか!?たたた楽しみ…!
カフェイレでの発売前の曲紹介でメロディは『Part time love affair』と同時期に出来たとも仰ってて編曲も同じトオミヨウさんという事で、あの曲調が完全に先入観になってたから聴いて本当に良い意味で裏切られた。聴き終わってからカフェイレ放送時のメモを振り返って「違う手法」の一言を完全にスルーしてた事に気付いて笑ってしまったよ。やってくれたぜ。「電子レンジですね」って仰ってたの聞いた時にはなるほどさっぱりわからんなと思ったものだったけど、聴けば確かに紛うことなく電子レンジだったしただの電子レンジで終わるわけがないのが我らが新藤晴一。面白いなあ。アレンジが突き抜けてるからなのか、言葉の選択も埋もれまいと尖りつつも軽やかで嫌味がない(動画ってとこだけ動画?って思ったもんだったけど、後日作詞者さんのツイート目にしてなるほどなと)。涙と笑顔とか純情と触れ合いとか開けないと会えないとか、ちょいちょい対になったり韻を踏んだりする言葉の選択が聴いてて気持ち良いので好きです。あと「のようなもの」から滲む、過去と現在を隔てる埋めようのない距離も。
晴一さんの歌詞だけでなくポルノさんの多彩さにだって言えることだけど、ここで使う振り幅って言葉が指すのはもはや三次元だね。平面じゃ足りないな。


M9:夜間飛行
1番サビ終わりで驚かされて、聴き終わって歌詞カードで歌詞読んで再度驚かされた歌。
好きなアーティストの歌の歌詞を知る最初の一回目の機会は好きな歌声に捧げたいので、歌詞カードは聴き終わるまでは絶対に読まないって決めてるんです。んで今回も序盤から綺麗な音色に聴き惚れてたら突如登場した代名詞が「君」だったから、(たぶん『君の愛読書がケルアックだった件』が先入観として作用していたのも大きかったのでしょう)ああこの歌は男性目線なんだなって認識して「君はずるい」の岡野さんの唯一無二の歌声にずるいのはお前だコノヤロー!!!(訳:愛してる)って悶絶しつつ煙草が似合うクールビューティなおねーさんの横顔を想像しつつ聴いてたら1番サビ終わりの「私」ですよ。えっあっえっそっち?って若干動揺したし、自分の中で繰り広げられてた想像の光景が瞬時に塗り替えられるのが面白くて無性に嬉しくて、惚れ惚れと聴き終わってあとで歌詞カード読んで一番サビと大サビの繋がりに再度驚かされて、という晴一さんの手のひらの上で踊りまくってしまう結果に。やりやがったな晴一さん…!!!
晴一さんの歌詞の魅力のうちのひとつに、多くを語らずに沢山のことを込めたり伝えたり出来る言葉の選び方があると思ってるんですけどこの歌詞はまさにそれで。想像の余地の多さに歌詞世界とこの二人の関係性が様々に見えてくるのがもう堪らないです。最後の最後に登場する「私好みじゃないパフューム」、最初に歌詞カード読んだ時はめちゃくちゃ感激したんですよ。これ「月が綺麗」を聞けたからこそ言えたフレーズじゃないか…!って真っ先に思って。いや声に出したわけじゃないから言ってないんだけど、それなら言えたって言い方じゃなくて認める事が出来たとでも言おうか。「月が綺麗」を聞けたからこそ曲も終盤どころか最後の最後でようやく認める事が出来た「私好みじゃないパフューム」。愛であるように、おそらくは祈りのように紫に煙る君の気持ちを眺めていたけれど、それを聞けたから願いを込める必要がなくなってただ自分の率直な感想をようやく認める事ができたのか、これ以上のハッピーエンドがあるかよなんだこれ!なんだよこれ!なんだこの掌編小説のお手本のような美しい最後の一行は!!!ってほんとに感激して。でもよくよく歌詞全体を読んだら2番サビに登場する腕時計のくだり、これ私からは「外して」の一言が言えないような関係性なんだろうか……って考えたら翻るように一気に悲しくなった。夜が明けなければ良いと願うことに等しい「耳を塞いでいる」を君は知る由もなく、君から溢れる感情を決して逃すまいとする切実さの滲む「耳を澄ましている」も同様で。君は私と違って二人で過ごす時が過ぎることに対して何の感慨も抱かないのねって考えたら悲しい。悲しい気持ちのまま突き詰めてたら甘く香る私好みじゃないパフュームが「月が綺麗」の言葉そのものをも指してるように思えてきてさらに勝手に悲しくなってる。理屈も感傷も超えて理性も薙ぎ倒してしまうほどただ好きで、それだけ好きな人の隣にいるのにものすごく遠い。こんなん完全に魅かれた方が恋のloserやん…(重ねた手のひら繋がり)。悲しいのに美しい歌詞なのがね、ずるいね。歌声も旋律も美しいからずるい。雨やまないね。あらかじめ決まってる星の軌道みたいに、一度だけ近接したあとはもう生涯をかけて遠ざかるのみっていう二人なのかもしれないね。だめだほんとに悲しくなってきた…。そんで今もっかい歌詞カード読み返したら1番Aメロの冒頭2行のところで私は別れ話をするつもりでいたのかなってふうにも読めてますます混乱してる。横顔とか指先とかいろいろなものが美しく思えるぐらい心から好きだけれど(瞳の奥をのぞかせてにも「美しい文字」というフレーズがありますね)、好きなままさよならをする事を選ぼうとしたのかなと。でもそれならばやっぱり揺らいだ心へはハッピーエンドを願わせてほしい。想像の余地が様々にあるからこそ別離はほかの人に任せる。なんでFLYが大文字の箇所があるのかも含めてこれからじっくり考えたいです(何かのアクロニムだったりして)。
あとこの感想書きたいものから順に手をつけててこの夜間飛行を一番最後に書いてるんですが、このひとつ前に書いた170828-29について本気出して考えてた時、そういや今回のアルバム収録曲って星の登場比率高くない?ってふと思って歌詞カード最初っから読んでみたんですね(漏れがあったらごめん)。LiAR「星のささやき」・Fade away「星屑が消えるように」・170828-29「星に祈るみたいにミサイルを見上げては」と、思ったほど多くなかったけど印象的に使われてるから多く感じたのかなって考えて。さて大本命夜間飛行は…………………………ってひととおり読んでみたら無い。ひとつも無い。そのどこにも見当たらない星のかわりに登場するのがDark skyと「月が綺麗」………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………晴一さんはずるい(好きに訳せ)。


M10:真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
好きな歌は数あれど、好き嫌いで語る域をとっくに越えてて自分の中で本当に大切にしたい歌というのがアーティストを問わずいくつかあってこの歌もそのうちの1曲だったりします。このブログのタイトルもこの歌から引用させて頂いてて「確かに動いた心をなかったことにしてしまうのが、自分の心に失礼だと思う」という自宅にての一文が源流のように自分の中に存在している事実。こうありたいものです。
ここまで5曲に1曲ぐらいのペースで配されてるシングル3曲のバランスめっちゃ良くないですか?THE DAY・LiAR・真っ白という圧倒的華やかさ強さ凄まじさ。アルバム曲たちの奔放な燦めきが宝物であるように、シングル曲の強烈な存在感を実感できるのもまたアルバムの面白さよ。


M11:170828-29
カフェイレでご本人の口から読み上げられたところによるとタイトルの読み方は『イチナナゼロハチニーハチニーキュー』、2017年8月28日に歌詞を書いたら翌日の8月29日にこの歌詞を彷彿とさせる出来事が本当に起こってしまって、その実際の出来事よりも先に歌詞を書いたんだという事実を込めたタイトルだそうで。アルバムリリース前にラバップ会員を対象に行われた\タイトル(以下略)/ではわたしこれに投票しました。タイトル解禁のしまなみテレビの時点でどんな歌詞なのかって話がかなり具体的に出てたので、もう早く聴かせて楽にしてくれ!待ちきれんわ!って気持ちひとつで迷わず選んだ(でもタイトルだけで選ぶとなるとやっぱ強いよねケルアック)。
ところで私いま好きな作家(森博嗣)の2001年のブログ本を読んでるとこなんですけど、6月下旬の記事に"むしろ「人間の猛威」がずっと恐ろしい"という一文で始まるテロリズムに備える難しさを綴ってる箇所があってドキッとさせられたばかりだったりします。約2か月半後に発生するアメリカ同時多発テロを知るよしもない時点での、作品として日常を記すブログの中での記述。引き寄せとかそんな次元の話がしたいのでは全然なくて、こういう事実は小説よりも奇なりとしか言いようのない巡り合わせはやっぱり実際に起こり得るのだという事を言いたかった。肝要なのは言語化する事を選んだその事実。
歌詞は新藤詞の強みとも言える一面が存分に発揮されてる強烈さなのだけど、でも憂うべきはこれを皮肉詞とか言ってられない現状と「こんな未来 聞いてなかった」の(歌声との相乗効果も込みでの)切実さじゃないだろうか。THE DAYで「生き残ったものが勝者」と書かれてからたった1年半しか経ってないんだぞ。
そしてその愁いとは別に、神風ってワードをこういうテーマの歌詞で使用するアーティストがALI PROJECT以外にも現れたのが驚きだしそれがポルノさんだという事実がわたしは嬉しい。神風とインスタグラムという単語を同居させて歌詞として成立させる凄さは『今宵、月が見えずとも』の太宰とグーグル検索同様に語り継がれるべき。そして"インスタ映え"って言い方が揶揄の響きを帯びるようになって久しい昨今「映えはしない」という一文を添えて諷刺の度合いをより強める、作詞家としての技巧的な手腕にも惚れ惚れします。
曲もすごく好きで、新藤曲にときどき見られる疾走感のあるカッコよさと歌謡曲の哀愁を彷彿とさせる胸に響くメロディの両立に岡野さんの勢いのある歌声が加わればもう向かうところ敵なしってやつです(皮肉でなく)。ピースピース。


M12:Montage
アニメ『パズドラクロス』の主題歌にもなったシングル両A面のうちの1曲。今作唯一の岡野詞新藤曲でもありますね。
この歌は正直まだあんまり魅力を掴みきれてないところがあって、ただ2番サビ終わりからの間奏以降がメロディも歌詞も歌声もものすんっっっっごく好きでここをライブで生で聴いたらどんなふうに響くのかなってのがとても楽しみだったりします。(まだ特典映像観てないのでしまなみテレビの初公開の記憶だけで言うんですが)MVが凝ってて面白いんだよなあ。お二人が一応登場しないフルCG?で構成されてる作品で、他人の脳内を覗き見てるような突飛で破天荒な世界にいつの間にやらぐるぐる酔いそうになる勢いで見入ってしまうからやっぱMVとワンセットで括って堪能したい。


M13:スパイス
岡野さんの歌詞でここまで具体的な情景の描写みたいなのって珍しいかもしれないなって思ったけどあれだね昔『休日』って歌があったね…………えっちょっと待って休日ってつまりm-CABIって11年前なの…??嘘だろ…。
多彩さの一面を担う愛しい日常の必要性は頭では理解出来るんだ。でも『クリスマスのHide&Seek』のところで一度書いてる事をわざわざもっかい書かんでもええやろって思うのよ。なのでこのくらいで勘弁してくれ。申し訳ない。


M14:キング&クイーン
2017年開催グラチャンバレーのテーマソングに抜擢された際のシングル曲。タイアップの大きさから言ってもこの歌ってもう曲順での居場所って最初か最後ぐらいしかないだろうし、それならいっそTHE DAYや真っ白あたりで終わるぐらいの冒険を期待したいなと曲順発表前の段階でぼんやり考えてて。で、THE DAYラストはロマポルと被るからキング&クイーン始まりの真っ白で終わる曲順を願望を込めつつ予想してたんです。そしたらいざ発表されてみたらこっちが最後でしたね。どんまいだった。ライブのセットリストをどんなふうにしてくるのか期待しようじゃないか。
ところでポルノさんのアルバムでシングル曲が最後を飾るのは初めての事ですね。デビュー曲『アポロ』のカップリングである『ロマンチスト・エゴイスト』が最後の曲となる1stアルバムは(当時まだファンじゃなかったから)アルバムで初めて聴いたし、10thアルバム『RHINOCEROS』は先行配信で公開されてた『ミステーロ』が最後だったけどアルバム発売までは意地でも聴かないように前情報も入らないようにネット断ちしてた奴なんです。なので知ってる曲が順番として最後に待ってるアルバムを聴くという体験そのものがポルノさんでは新鮮だったし、イントロのギターからの眼前に青空が広がるようなあのキラキラなイントロを聴いた時の、シングルの時には感じなかったはずの謎の安心感と「ああこれが最後の曲なんだ…」って思い知る一抹の切なさのようなもの(FCUW5で聴いたリビドーあたりにも通じる)が同時に芽生える瞬間はちょっと得難い実感でした。ここでもまたアルバムの面白さを突きつけてくれる新しい切り口に感謝。

 


個人的にポルノさんのアルバム曲で一番好きな歌が、AGAIN/FLAG/IN THE DARK/Light and Shadow/グラヴィティ/Let's go to the answer(これより前はリアルタイムで聴いてないので割愛)、と見事に新藤詞曲と岡野詞曲が交互になっててですね、この流れでいけばBUTTERFLY EFFECTで一番好きになるのは岡野詞曲の歌になるんじゃなかろうかって発売前になんとなく考えてたんです。そして岡野さんやってくれたよFade awayをありがとう本当にありがとう…。と言いつつ新藤詞曲の夜間飛行も同じぐらい好きだし(優劣を決めるのは昭仁さんと晴一さんどっちが好き?と同じぐらい愚問)、170828-29もその2曲に続く勢いでかなり深々と刺さる歌だったしWorking men bluesとMICROWAVEもエンドレスで聴いていられる好きな歌だしでいま見事にポルノさん以外聴きたくない期間に突入してます。2年ちょい待った甲斐があったよ。
デビュー20周年がそろそろ視野に入り始めてる現在でもなお進み続けている事を作品で証明してみせた一枚だと思います。ファン冥利に尽きる幸せをありがとう。ツアーも楽しみにしています。